「介護疲れ」で引退を発表した小室哲哉さんの妻のKEIKOさんは
2011年にくも膜下出血で療養することになり
「記憶障害」や「言語障害」でだんだん話すのが難しくなっていき
以前は歌うこともできたがそれもできなくなるなど
本来持っていた能力が失われていっているのは多くの人に知られていますが
小室哲哉さんが引退を発表した会見で、KEIKOさんが実は高次脳機能障害だったということが判明。
「脳機能に障害が起きる病気なんだ・・・」くらいしか素人にはわからず
KEIKOさんの体に何が起こっているのか調べていました。
会見でKEIKOさんの病状も話されていましたので
下に詳しく記載しておきます。
KEIKOさんの現在の病状や様子
「小学4年生の漢字ドリルを楽しんでやっている」というニュースを見たときは
そこまで進行していたのか・・・と驚きましたが
小室さんはそんな彼女を「女性」としてというより、現在は
「女の子」として愛されているようですね。
「疲れてしまった」ということばかり批判されますが
妻に愛想をつかしたなんて全く誤解ですね・・・。
KEIKOさんの病状について小室さんが会見で話していたのは
〇 電話で3分程度しか話が続かなくなった(以前は10分以上)
〇 以前は歌えたのに現在は歌えなくなった
〇 ピアノを弾いても30分持たない
〇 歌えなくなったのは音楽全般に興味がなくなったから
〇 あらゆる欲がなくなった
〇 大人としてのコミュニケーションはできない
〇 年に数回、スムーズな会話ができる
〇 スムーズな会話が可能になるときは「わたし、普通じゃないよね」ということがある
こういった様子がわかっていますね。
以前はSNSでKEIKOさんは記憶障害の影響なのか
「おやすみなさいzZZ(絵文字)」を
一言一句、絵文字すら間違えず何度も投稿していました。
ただ、「わたし、普通じゃないよね」ということが今もあるということは
まだ記憶を引き出す機能もあり、自己を客観視する能力も保っているということですよね。
高次脳機能障害って、基本的にどんな症状が出て、どう進行していくのか
以下にまとめてみました。
なお高次脳機能障害の仕組みは割愛させていただきます。
高次脳機能障害の症状・・・代表的な症状と症例
高次脳機能障害は、20代~40代の働き盛りに多く発症するといわれ
社会復帰が難しい障害の一つです。
高次脳機能障害は、身体障害と比較しても社会復帰や職場復帰が低いと言われており、自宅・職場復帰率が2割、復帰後も高い離職率(10年以内に半数がやめる)というデータもあります。
引用元:脳梗塞リハビリセンター
原因として
- 脳出血
- 脳梗塞
- くも膜下出血
- 脳腫瘍
- 脳炎
- 低酸素脳症
- 外傷性脳損傷
といった脳が何らかの原因で損傷をうけ、機能を制限されるものや
- 発達障害
- うつ病
- 統合失調症
- アルツハイマー
など、だれにでも起こりうること、または遺伝的な機能の偏りが原因で引き起こされることも。
見た目ではわからないのと、本人も自覚するのが遅れるため
「理由はわからないが人が変わった」「真面目にやってない」「怠けてる」
と思われてしまうこともあり、初期では自分も周囲もイライラしてしまうこともあるようです。
KEIKOさんに記憶障害があるのはわかっていましたが
高次脳機能障害の症状を知っていくと
主な症状5つにほぼ当てはまっているように見えます。
【記憶障害】
記憶障害には「前向性」と「逆向性」があって
前向性は発病した後のことについて記憶を保てなくなるもので
逆向性は発病より前の、過去の記憶が思い出せなくなるものです。
- 物の置き場所を忘れる
- 新しいできごとを覚えていられなくなる
- 何度でも同じことを繰り返して質問したりする
- 今日の日付がわからない
- 自分のいる場所が分からない
- 自分のしたことを忘れてしまう
- 作業中に声をかけられると、何をしていたか忘れてしまう
- 人の名前や作業の手順が覚えられない
【注意障害】
- ぼんやりしていて、何かをするとミスばかりする
- 二つのことを同時にしようとすると混乱する
- 作業を長く続けられない
【遂行機能障害】
- 自分で計画を立ててものごとを実行することができない
- 人に指示してもらわないと何もできない
- いきあたりばったりの行動をする
【病識欠如】
- 自分が障害を持っていることに対する認識がうまくできない
- 障害がないかのようにふるまったり、言ったりする
【社会的行動障害】
- すぐ他人を頼る
- 子どもっぽくなる(依存、退行)
- 無制限に食べたり、お金を使ったりする(欲求コントロールの低下)
- すぐ怒ったり笑ったりする、感情を爆発させる(感情コントロール低下)
- 相手の気持ちや立場を思いやることができず、よい人間関係が作れない(対人技能拙劣)
- 一つのことにこだわって他のことができない(固執性)
- 意欲の低下
- 抑うつ
参考:高次脳機能障害情報・支援センターほか
素人の私が最も気になるのは、KEIKOさんの高次脳機能障害が治るのか
治るのならばどの程度のことをいうのか
といったところです。
高次脳機能障害は治療やリハビリで治るのか
高次脳機能障害の患者には、できることを確認しつつ
少しずつ多くのことができるように
課題などを制限してあげながら、機能を少しづつ取り戻していく
というリハビリをしていきます。
リハビリセンターによってリハビリのメニューは様々ですが
日常生活が送れるように、自分でするのが困難になった
日常の作業を一人でできるようにしていく訓練や
記憶力・注意力・言語力といった
脳機能を回復させるリハビリもあります。
これはセンターによってはタブレットを使ってパズルや選択問題をしたりします。
またリハビリだけでなく、薬物治療や外科的治療・心理カウンセリングなどのアプローチもあります。
一般には高次脳機能障害は、脳に損傷を受けてから時間が経つほど
治療の効果が得られにくくなるそうです。
時間が経過してからでもよくなる患者さんもいますが
なるべく早い段階で治療することが望ましいと。
100%の回復、損傷前の状態まで回復が可能なのかというと、現在の医学では難しいそうです。
ただ、治療である程度まで
「日常生活を送るのに支障がなくなる」
「周りの人に迷惑をかけないレベル」
にまで回復させることはでき、それをもって「回復した」ということもできる。
成人でも脳細胞は日々10万~20万単位で減少していて
「知能テスト」みたいな点数で測られる尺度で多少点数が下がっても
それで「高次脳機能障害だ」とは騒がないですよね。
それと同じで、高次脳機能障害であっても治療で回復することで
普通に日常生活が送れ、何か仕事を持てるようになれば
それは完治といってもいい。
調べているうち、渡邉修さんという著者がこんなことを書いていた。
ただし、これだけは言える。
家族や周囲の人の手厚い介護や親切があるとき、脳は不自由な部分を補おうとする。
自分は必要とされているんだ、しっかりしなきゃという思いが、症状を改善に向かわせるのだ。
高次脳機能障害は通り一遍のリハビリでは改善しない。
しかし家族の手厚いケアがあれば、絶対によくなる。
リハビリドクターである著者は、そんな事例を何度も経験したのだろう。
そのためには家族に知識を持ってもらわなければならない。
本書はなにより、それを伝えるために書かれた。
http://news.kodansha.co.jp/20170512_b01
おぉ、なんと力強い言葉だろう。
ある病気がよくなるかは、その病気と長年付き合ってきたドクターの深い経験からしかわからない。
医学の理論上だけでは100%のことはいえないのだ。
医師は、理論を熟知した上で、理論外のことも信じられる
ある種アンビバレントな考え方を持っている人が必要とされる。
彼の著書は、高次脳機能障害のご家族や近しい人がいる方には是非一読してみてほしい本だ。
高次脳機能障害と家族のケア 現代社会を蝕む難病のすべて (講談社+α新書) [ 渡邉修 ]
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KEIKOさんのリハビリや治療が効果が表れているのかは
表からではわかりにくいけれど
「漢字ドリル」を楽しんでやっていたり、リハビリを嫌がっているようではないので
少しずつでもできることを増やしていくことはできるんじゃないかと。
小室さんに関しては、ご自身のC型肝炎、そこからのストレスによる難聴など
療養すべき点が多すぎるので、誰かKEIKOさんのサポートを頼める人が
多ければ多いほどいいのかなと・・・
小室さんの件があって調べる中で、私も自分やパートナー、家族や友人の健康が
ずっと続くことが当然ではなく
些細な悩みに捕らわれ、時間を浪費するために与えられたものではないこと
体に何かあったときにどう向き合うかなど、普段考えないようなことを考える機会になりました。
今回言えるのは、KEIKOさんの高次脳機能障害が治るかは
小室さんや周囲の「こうなってほしい」という気持ちが
強くKEIKOさんの心に訴えられるかどうかではないかということです。
私でしたら、「たくさんお話しできるようになってほしい」とだけ思い続けると思います。
【関連記事】
自分は五十前半ですが、小室さんと同じ時期に妻が高次脳機能障害になりました。
小室さんの会見での、大人の女性としての会話、小学四年生のドリルの話を聞いたとき
何故か涙がとまりませんでした。
コメントありがとうございます。
誰でも歳をとるにつれ、脳機能が変化していくものですが
そのスピードが速すぎると、自分を置いていってしまうような
寂しい気持ちや不安、時には怒りも感じると思います。
彼女たちも同様に、言い表せないだけで漠然とした
大きな不安を抱えていると思います。
自分が見ている時計は凄まじいスピードで進んでいき
不安が強まるばかりなのに、他の人に見えている時計はそうではないらしい。
漠然とした感情を伝える間をなかなか与えられないだけで
いろんなことを感じていると思います。
言語を使ったコミュニケーションが本当に高等かどうかは
私にはわかりませんが
脳のイメージを直接相手に送ることができるなら
もはや言語はいらず、言語障害は問題にされなくなります。
私たちは今、言語に頼り過ぎた生き物になっているのかもしれませんね。